【読みやすさ】どの漢字を「ひらく」べき?文章も見た目が大事!
漢字→ひらがな に変えること=「ひらく」
漢字をひらがなに変えることを「ひらく」といいます。
文字数が増えるから開くっていうんだよ、と校正初心者のときに教わりましたが、それが真実かどうかはさておき。
なぜ「ひらく」?
なぜ「ひらく」のか、その目的はいくつかあります。
- 漢字かなカナでリズムを作って読みやすくするため
- 文章を平易に見せかけるため
- 読み手の対象年齢にあわせるため
- 文字数を稼ぐため(多用は禁物)
漢字続きの文章は読みにくい
下の例を読んでみてください。
例文1
昔々、ある所に、三匹の子豚が兄弟仲良く暮らしていました
読めなくはありませんが、漢字が多くてやや堅苦しい印象です。単語と単語の間が詰まっていますし、画数が多いので密度が濃いですね。
これを適度に「ひらく」とこうなります。
例文2
むかしむかし、あるところに、3びきの子ブタが兄弟なかよく暮らしていました
平易で読みやすくわかりやすい文章になりましたね。ひらがなをベースに、漢字は「子」「兄弟」「暮らし」のみ。
さらに、「3びき」では漢数字をアラビア数字にして、子ぶたではなくあえてカタカナを用いて「子ブタ」とすることで単語の区切りが分かりやすくなりました。
逆に、ひらがなを漢字に変えることを「とじる」といいます。「ひらく」も「とじる」もいずれも校正用語です。となると、カタカナに変えることは「ヒラク」……? 校正の現場ではヒラクなんて使ったことありませんが。
対象年齢に合わせる
特に、小・中学生を対象とする文章を書く場合には、学年別漢字配当表を参考にしながらどの漢字をひらくか決める必要があります。
これによると、「昔」は小学3年生で、「暮」は小学6年生で習います。先ほどの例文を小学4・5年生向けにするとこうなります。
例文3
昔むかし、あるところに、3びきの子ブタが兄弟なかよくくらしていました
「昔々」としていないのは、「々」が漢字ではなく記号(または符号。校正用語でいう約物)であり、学校では習わないからです。ちなみに、ノマ点と呼びます。
対象年齢に合わせるため。とはいうものの、じつは読み手の対象年齢が厳密に区切られているケースはあまり多くありません。あったとしても、たいていの場合はその執筆媒体で統一すべき用字用語が優先されます。
ここで、例文2に戻って解説してみましょう。
例文2
むかしむかし、あるところに、3びきの子ブタが兄弟なかよく暮らしていました
一文字目の印象は超重要です。その文章全体のファーストインプレッションを決めるからです。この例文の場合は誰にでも読みやすい昔話なので、ひらがなを採用しました。
また、「くらす」ではなく「暮らす」としたのは、前の「なかよく」とのつながりを意識したためです。対象年齢という制限がなければ、「なかよくくらす」よりも「なかよく暮らす」の方が単語の区切りが分かりやすいと思いませんか?
このあたりは書き手の好みが多大に影響します。自分が書いていて・読んでいて気持ちいい文章を書くことも大切にしたいですね。
ひとつの媒体・記事・文書のなかで統一することが大事
どの漢字をひらくかとじるかについては、媒体・記事・文書をとおして統一しておきましょう。上の例文でいえば、「昔々」「むかしむかし」「昔むかし」が混在したり、「子豚」「子ぶた」「子ブタ」と表記がゆれたりする事態は避けるべきです。
- 執筆前または執筆中に用字用語集を作る
- 絶対に揺れたくない重要キーワードは、校正段階で検索をかける
これらの工夫で、漢字のひらく・とじるだけでなく用字用語全体の表記ゆれを防ぐことができます。
特に、複数の執筆者・校正者・編集者が協力して作り上げる媒体の場合は、全員で用字用語集を共有しておくことをおすすめします。
ひらく漢字一覧表
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